院長のブログ

心臓マッサージで救命

70代の男性
2か月ほど前に食べ物を喉に詰まらせ救急搬送。
心臓マッサージの救命処置を受け蘇生。一命をとりとめました。
その後、深く息をする、寝たり起きたりの姿勢、床の物を拾うなどの時、胸と背中に強烈な痛みが起こるようになりました。それに加え最近では夜、寝がえりの時に痛みがあり夜中に何度も目が覚めるようになり辛いということです。
病院で検査を行っても肋骨や肺には問題はなく「しばらくすると痛みもなくなるでしょう、様子をみてください」と言われたとのことでした。
検査を行うと胸郭を含む呼吸器系が、心臓マッサージを受けた時の衝撃で収縮を起こし呼吸を低下させていました。
酸素が低下すると脳への酸素供給が低下し痛みを抑えるシステムである「下行性疼痛抑制経路」が働かなくなり痛みを感じやすくなります。
下行性疼痛抑制経路は中脳辺縁ドパミンシステムと言い、痛みのコントロールを行っている重要なシステムです。
ギックリ腰や寝違え、頭痛や生理痛もこのシステムが働かなくなることで引き起こされます。

この患者さんは心臓マッサージで強い衝撃を受け、横隔膜や胸郭、そのほかの呼吸筋が収縮を起こしたことで体内の酸素が低下、これにより脳への酸素供給が低下して脳からの痛みを抑制する働きが低下して、体を動かすと強烈な痛みを発生していました。

胸郭、呼吸筋を調整。大脳皮質のバランスを整えることで下行性痛覚抑制と中脳辺縁ドパミンシステムが正常に稼働するようにすることで、胸と背中の強烈な痛みは消えました。

神経系の働きは、画像診断や血液検査では現れない場合がほとんどです。
神経系の働きはアナログですが体の動きや反射を診ことで、いろいろなことがわかります。

命が助かることが第一です。蘇生してくれた救命士や医師の方々に感謝をしなければなりません。

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