院長のブログ

原因の異なる腰部痛

昨日、患者さんから電話がありました。
今朝から腰が痛くなったのですけど痛みの和らぐようなストレッチとか教えてください。

答えに非常に困る問い合わせです。

痛みを招いている原因がわからないと答えようがないからです。
同じ個所の同じような痛みでも原因が全然違うからです。

異なった原因での前傾姿勢になると腰仙部、つまりベルトのラインあたりに痛みが出た例をいくつかご紹介します。

45才 男性
腹直筋の収縮が原因で腰部へ痛み。
前傾姿勢になり体幹の重心が前にかかると背部の起立筋や腰方形筋で上体を支える状態になります。
背部筋が主動筋として十分に上体を支えるには安定筋としての腹筋が機能しなければなりません。
安定筋としての腹筋が収縮し筋力低下したことで主動筋としての背部筋が上体を支えきれず脊柱起立筋の仙骨の付着部と腰方形筋の腸骨の付着部に負荷がかかり痛みが発現。

25才 女性
胸鎖乳突筋の収縮により腰部に痛み。
上体を前傾させていくと頭部が前に傾きます。
頭部が前に傾くと脊柱起立筋で頭部を支えようとします。
脊柱起立筋は頭部では後頭骨、腰部では仙骨に付着しています。
胸鎖乳突筋が安定筋となり頭部を固定安定させることで脊柱起立筋は十分に体幹を支えることができます。
胸鎖乳突筋が低下したことで脊柱起立筋が不安定になり腰部の付着部に痛みが発現。

また同じ胸鎖乳突筋が原因で前傾姿勢になると太ももの後ろ、ハムストリング筋付近に痛みが現れる75才の女性がいらっしゃいました。

このように痛み、もしくは不快感が現れている箇所とはかけ離れた組織が起因している例は多数あります。

私は世間一般的に言われているような『腰痛体操』とか『肩こり体操』などと言われている万人向けの体操は存在しないと思っています。

『個々人の原因』に対しての運動処方は効果があります。

そのためにも原因を探求しなければなりません。

ちなみに筋の収縮は『直接原因』です。
その筋を収縮させるに至った『根本原因』を追究しなければ症状は繰り返されてしまいます。

根本原因は外呼吸や内呼吸の低下
それに伴う酸素摂取低下によるTCAサイクルの可動低下かもしれません。

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