院長のブログ

姿勢と眼球運動と痛み

施術前の検査で必ず行う事。

目の動きを見る。
眼球運動の検査です。

眼球は水平、上下、下内側、上内側の6方向に動きます。
(回旋運動もありますが少し複雑です)

6方向の動きを6つの外眼筋が行いそれを3つの脳神経核で制御しています。

19歳女性
職業はバレーダンサー

ジャンプをする瞬間、そして着地の瞬間に左足首に痛みが出る。
ダンスでジャンプは重要なポイント。
痛みが出ては思うように踊れないという事でした。

足関節の可動性。
関係した筋の機能。
問題はいくつか出てきましたがそれを解決してもまだ痛みは消えません。
このような場合は反射的関連で何か見逃していることがあるはずです。

施術開始前には必ず眼球運動をチェックしますが問題はありませんでした。
しかし、つま先立ちになってもらい眼球運動を検査したところ上方を見上げた時に物が二重に見える。
つまり複視があることが判明。
つま先立ちになると首の動きにも問題があり伸展の角度が浅くなること判明。

つま先立ちをしながら首を伸展、さらに眼球の上方運動を同時に行ったところ足首の痛みは消失。

眼球運動は姿勢反射に大きく関わっています。
眼球運動は動眼、滑車、外転の神経核。
脳幹の中脳と橋に存在しています。
姿勢制御と眼球運動は脳幹で行われています。

目が動いた方向に首が動き次いで体幹を向ける。
蛇やトカゲなどの動きがそうですね。
そして赤ちゃんは興味のあるものに目を向け、手を伸ばす。
姿勢反射、頚反射の1つです。

眼球を上方に向けることで頚反射の働きで伸筋が活性化される働きがあります。

通常の姿勢では頚部の動きにも眼球運動にも異常は出ませんが
伸筋を働かせるとその信号が小脳に入力されます。
小脳から前庭系を通して外眼筋の運動に制限が働いたものと思われます。

動眼神経を刺激する逆の神経経路を使い伸筋を活性化することで足首の痛みが消えます。
伸筋が活性化されることで同時に関節受容器が正常に働き足首の柔軟性も出て体幹のバランスも整う結果になりました。

在宅ケアとしてレッスンの時に眼球運動を行いながらのつま先立ちを行うエクササイズを処方。
足首の痛みは消失しているという事です。

通常では現れない機能的低下。
しかし動作の過程では神経系の作用、反応や反射で脳幹や小脳、基底核などの働きに影響が現れることはめずらしくありません。

状況に合わせて検査をし、注意深く観察を行うことが大切です。

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