院長のブログ

背骨のズレと言うカオス

23歳男性、スポーツはキックボクシングをやっている。
2週間ほど前から歩いたり走ったりすると尾骨から肛門にかけて強い痛みを感じる。
整形外科で受診、レントゲンを撮り画像診断を受ける。
このときに医師から言われたのが、尾骨がズレている。
来院される患者さんの中で画像診断を受けて骨が歪んでいる、頚椎が真っ直ぐになっていると医師から言われたという患者さんが結構多い、背骨や骨盤の歪みやズレについては機会があったら詳しく書きたいと思う。

痛みの状況を聞くと歩いたり走ったりすると痛い、お尻に力を入れると一番痛い。
しかしキックボクシングの練習でスパーリングやサンドバッグを蹴ったり叩いたりしているときは不思議と痛みは無いという。
私は痛みを訴える患者さんには必ずする質問がある、『お風呂に入ると痛みは楽になりますか?辛くなりますか?』
この質問に、答は『お風呂に入ると痛みはウソのようになくなります』
温まって痛みが消える。
激しく動いて痛みが消える。
この2つに共通するものは何か。
2つの行動によって起こるのは血流。
血流がよくなれば筋肉がほぐれ痛みが消える、このような時は案外簡単に治ることが多い。
仮に尾骨のズレが原因の痛みであれば温めれば痛みは強くなる可能性のほうが強い。
筋力検査を行うと低下をしている筋肉は無い。
ただ臀筋に押圧を加え筋力検査を行うと、最初ほんの少し力が抜ける感じがして後はしっかりと力が入る。その最初の抜け方も注意深く観察しないと分からない程度。
臀筋を押してみると強烈な痛みを訴える。
臀筋のトリガーポイントを解除したら次の日には2週間続いた痛みは解消された。
『お風呂に入って症状が緩和されるか』、これは非常に重要である。
温めて症状が緩和されれば組織への酸素供給が低下していると診てまず間違いない。

血液は運動などで消費したエネルギーを補おうとしてエネルギーのもとであるATP(アデノシン三リン酸)を産生するために酸素とグルコースを運搬する。
何らかの原因で筋が収縮していたり交感神経が亢進していたりするとATPの産生が消費に追い付かなくなり痛みやシビレを発生する。
この患者さんの場合、歩行などの軽度の運動時よりもスパーリングやサンドバックを蹴るといった運動強度の高い時に血流が増加したと考えられる。
栄養としての食べ物、食事も重要であるがその食事を消化分解して単糖に分化できたとしても酸素が足りなければ嫌気性解糖となり最小のATPしか得ることはできない。最大限のATPを獲得するには酸素を十分に取り入れミトコンドリア内で酸化的リン酸化を機能させる必要がある。

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