50歳台 女性
主訴(お悩みの症状)
左膝内側に歩行時に痛み。
椅子や床に30分ぐらい座った後、立ち上がろうとすると痛み。
既往歴
20年以上前に右足浅腓骨神経麻痺により下垂足
普段は補助装具装着
2週間ほど前から痛みを感じ始める。
痛みは徐々に強くなっている。
痛みの個所は鵞足と言われる太ももの裏の筋肉が膝の内側に集合した部分。
検査
筋力検査
左上下肢の筋力低下。
筋の伸張反射
右側正常/左側上肢、下肢共に亢進
輻輳検査/対光反射/聴覚伝導検査において左側中枢神経網の機能低下の傾向あり
検査の結果左鵞足部への痛みは左中枢神経網の機能低下によるものと判断。
左中枢神経網の機能低下は右の浅腓骨神経麻痺により筋肉からのⅠa/Ⅰbの刺激の入力が低下。
これにより左側皮質への入力が低下し機能低下。
大脳皮質の機能低下は同側体幹及び上下肢の感覚、特に痛みの抑制と調整を行い適正な感覚に保っています。
この患者さんの場合は右足からの刺激の低下が左足鵞足部に痛みを出しました。
右足からの入力信号を強化するために右膝裏に伸縮性テープを張り、皮膚の表在感覚からの入力で補正。
左膝に痛みを感じていますが左膝には異常はありませんので一切刺激を加えず72時間、三日ほどそのまま伸縮性テープを張り替えながら、深呼吸を行っていただくと痛みは鎮静化。
一週間後再度来院していただいたときには痛みの70%は消失した状態にまで回復。
痛みのある場所に原因があると思われがちです。
もちろん痛みが発生している個所に原因が存在しているときもあります。
しかし打撲や捻挫などの外傷が存在しない時の痛みのほとんどは中枢からの抑制コントロールの低下が原因です。
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