院長のブログ

バレエダンサー 足首の痛み その正体は

プロのバレエダンサーの方が5人ほど施術にいらしています。

その中の21歳の女性

バレエ特有の足首を伸ばす(底屈)ポーズをとると左足首の外果(外くるぶし)付近に痛みが現れるということで来院されました。

問題は左足首に問題があっての痛みの発生なのかということです。
左足首に問題がないのであれば足首へのアプローチは無駄と言うことになります。

動画での解説

痛みの原因は足首ではありませんでした

この問題を検証するためには足首を底屈させた状態でいろいろな体勢をとり足首の痛みが消失する状態があるかどうかということを確認します。

すると座位、仰臥位(仰向け)の状態では痛みが消失。
再び立位で足首を伸ばしてもらうと外果に痛みが発生します。

以上のことから立位で重力が最大にかかった状態で体幹のバランスを保とうとしたときに痛みが発生している。
仰向けの状態で全身の筋力検査を行っても筋力低下を示す筋肉はありませんが左足首を底屈させた状態で筋力検査を行うと大胸筋、広背筋、胸鎖乳突筋に筋力低下が顕著に現れます。

座った状態と寝た状態で足首を伸ばしても痛みは現れず、立った状態で足首を伸ばすと痛みが現れる。この違いは何にあるのか?
考えられるのは体幹に負荷がかかると足首に痛みが現れるという事。
体幹を固定する筋肉に重力がかかり足首を伸ばすと外果付近に痛みが発生。

もう一つの可能性として脳幹網様体の体幹筋の抑制機能。
橋網様体と延髄網様体の機能バランスの問題が考えられます。
橋網様体と延髄網様体はお互いに協調し合って体幹のバランスをコントロールしています。

脳幹の状態を、脳神経核を利用して検査すると橋網様体の機能低下が観察されました。

橋網様体の機能が低下することにより体幹屈筋の収縮が強くなり伸筋(背筋)の働きが弱まることで体幹のバランスを保つことができなくなります。同時に屈筋が強くなると胸郭の可動性が制限され呼吸低下を招きエネルギー産生に関係するTCAサイクルが稼働低下、エネルギーの素であるATP(アデノシン三リン酸)が不足したことで痛覚神経が過敏になり左足首に痛みを発生したものと思われます。

右アキレス腱部分に伸縮性テープを貼り皮膚からの表在感覚を利用し大脳皮質-橋網様体の順に活性化。
大胸筋と胸鎖乳突筋の機能を正常化。
調整後、立位で左足首を伸ばしてもらうと外果の痛みは50%ほどに軽減、その後3日ほどで痛みはほぼ消失しました。

痛みは身体のありとあらゆるところに出現します。
打撲や切り傷、骨折などの外傷性の場合はその場所の侵害刺激受容器が直接反応して痛みを出していますが、そのほかの自然発生的な痛み(ぶつけたり捻ったりした覚えのない、いわゆるギックリ腰や寝違えなどは典型的な自然発生的な痛みです)は痛みの発生している箇所にはほとんど原因はありません。痛みの要因はほかに必ずあります。
無暗に痛みの発生している箇所に刺激を与えるのはかえって悪い結果を招きます。

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