院長のブログ

辺縁系と痛み

来院される患者さんの訴えで結構多いのが『不定愁訴』。

それも圧倒的に女性。
男性もいないわけではありませんが女性がほとんどです。

症状としては
頭が重い、イライラする、慢性的な疲労感、夜眠れない、やる気が出ないなどですが
もう一つ大きな症状として身体の広範囲に痛みを感じるというものです。

痛みは興味深い特徴を持った感覚です。

痛みは皮膚や末梢の痛みを感じ取るセンサー(受容器)から脊髄を伝わり視床そして大脳へと伝達されます。

伝達する神経線維は2種類。
神経線維によって到達する脳の部分が異なります。

痛みを伝える神経線維はAδとC
Aδ: 針などが刺さった時に「チクッ」とした痛みなど鋭い痛み「シャープペイン」を伝える神経線維です。
Aδは大脳皮質の第一次体性感覚野に届き痛みとその場所を認識します。

Cは針などが刺さった後にしばらくしてジワーと感じる痛みや筋肉痛の時の痛みや重苦しい痛みを脳の中心部の辺縁系にある扁桃体に伝えます。

指先が痛いとか痛みの場所が明確に判断できる痛みはAδが伝えます。

広範囲の痛み、例えば腕全体が痛いとか右半身が痛いとか
とにかく「全体的に痛くてどこが痛いかよくわからない」と表現されることがあります。
このような痛みはC線維が扁桃体に伝えます。

この扁桃体、情動や感情にも関係しています。
また女性が特に発達しています。
それは扁桃体が「母性」の中枢でもあるからです。

大脳の機能が低下すると女性は男性よりも扁桃体が発火しやすくなり身体の広範囲で痛みを感じやすくなるのです。

男性よりも女性が所在のはっきりしない痛みを訴える不定愁訴が多いのは扁桃体の機能に起因しています。

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