日差しが強くなると、まぶしく感じますが、
普段とは違う急激なまぶしさやいつまでも慣れないまぶしさを患者さんが訴えるようでしたらご用心。
これって結構赤信号だと思ってください。
瞳孔の開閉は自律神経によるもの。
縮瞳は副交感神経、散瞳は交感神経の働きにより行われています。
副交感神経の中枢は脳神経Ⅲ動眼神経、Ⅶ顔面神経、Ⅸ舌咽神経、Ⅹ迷走神経、そして仙髄。
交感神経の中枢は頚髄8番~腰髄2番の側角、別名『中間外側細胞柱(IML)』。
頭部には交感神経の起点はありません。
それでは頭部の交感神経はどうやって作用するのでしょうか。
トンネルなどに入って暗くなったときには交感神経を働かせ瞳孔を散大させてより多くの光を網膜に取り込まなければ何も見えなくなってしまいます。
それを防ぐためには交感神経の中枢であるIMLが存在する胸髄1番レベルから交感神経は交感神経幹を頭部へと向かい内頚動脈と共に頭蓋内に入り毛様体神経節を通過し眼球内に入り、瞳孔散大筋を働かせ瞳孔を広げます。
それでは光が当たった時に一瞬『眩しい』と思いますが直ぐに眩しくなくなります。
これは瞳にある瞳孔括約筋が働き瞳孔を小さくして網膜に入る光の量を制限します。
網膜に入った光は視神経を通り視交叉、視索を経由して動眼神経副核(E/W)に達し毛様体神経節で節後線維にシナプス眼球内の瞳孔括約筋を働かせて縮瞳する副交感神経作用です。
動眼神経副核、エディンガー・ウェストファル核(E/W)は中脳に存在します。
中脳は発生学的に他の脳と違い発生当初から中脳のまま分化せずに形成されたため他の部位からの影響を受けることなく成長した脳ですので、脳の状態を観察するには大変役立つ部分です。
中脳のE/Wが刺激されても副交感神経が作動せず交感神経亢進したままでいる。
眩しさが続くという事はこのような状態が予想されます。
『交感神経の働きが抑制できない』
このような状況は神経が興奮状態にあり注意が必要な状態であるといえます。
頸椎の矯正を含めた強い刺激は神経の働きをさらに悪化させることが予想されます。
ペンライトで瞳孔に光を当てる対光反射と言う検査があります。
この時に何度光を当てても『眩し』と患者さんが訴えるようでしたら注意深く施術を進める必要があると思います。
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