院長のブログ

揺れがおさまっても身体が揺れる(地震酔い)

東日本大震災の時に地震が終息してからもしばらく間、体が揺れると感じる方が多くいたと聞きました。
関東地方でも余震が続いた後、私の施術院に来て下さる患者さんの中にも体が揺れ続けているという症状を訴える方が多くいました。

これは『地震酔い』とか『後ゆれ症候群』などと言われる状態です。
体の中で何が起きているのでしょうか。

『体が揺れる』
原因としては平衡感覚系の問題か深部感覚系の問題かという事になりますが、地震の影響での揺れは平衡感覚系の問題が強いと思われます。

『安定して真っ直ぐ立つ』事が普通にできるために一番関係するのが半規管。
半規管は内耳の奥に左右に「前半規管」「後半規管」「水平半規管」とあり、これで頭部の動きを360°感知しています。

半規管は管になっていて内部はリンパ液で満たされています。
その中に有毛細胞というセンサーがあります。
例えば、頭が右を向いた時は右水平半規管が働きます。
管の中の有毛細胞が左側に傾き頭部が右に回旋したことを感知します。

余震が続くと半規管の活動が活発になり、平衡系神経の膜電位が閾値に近づき興奮しやすくなります。
この状態を『促通』と言います。
半規管はもともと、頭部の動きを感知して目の動きを制御する役割を担っています。
このため目をちょっと動かしただけでも逆に半規管を興奮させてしまい眼振(めまい)を引き起こしてしまいます。

半規管は小脳や前庭神経核に入力していますので嘔吐中枢である孤束核も刺激してしまい嘔気や気持ちが悪いなどの副交感神経症状を引き起こします。

状態によってどの部位の神経系に問題があるのによるので地震酔いの応急法はと言うと難しいのですが、重力からの影響を最大限に避けるために横になり、外界からの視覚刺激を避けるために閉眼し鼻呼吸で深呼吸をゆっくりと繰り返してみてください。
酸素を体内に入れることで神経系が正常に働く助けになってくれるはずです。

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