院長のブログ

眼の疲れと肩こりの関係

焦点が合わず目が異常に疲れる。

26歳男性
お仕事はデスクワーク。

随伴症状として
肩こり、頭重感、入眠困難、眠りが浅い。
集中力の低下、イライラする。

神経検査を行うといろいろ出てきました。

その中で一番問題だったのが輻輳調節反射です。
輻輳とは少し離れたところから両目の真ん中に対象物を近づける。
すると目は近づいてくる物体を捉えようとして中心に寄ります。
解りやすく言うと「より目」になるわけです。

この時、眼球では何が起きておるかと言うと
近づいてくる物体に対して左右の内側直筋が収縮して眼球を内転させます。
瞳孔は収縮し、水晶体(レンズ)は厚くなり屈折率を増します。

これで近づいてくる物体や近くの文字に対して眼球の位置と瞳孔の大きさ水晶体の厚さを調節し物や文字に焦点を合わせ「ぼやけない」ようにはっきりと見えるようにします。

これを『近見反射』と言います

神経経路は
網膜に入った視覚情報が視床の外側膝状態に行きそこから大脳皮質視覚野そこから中脳視蓋前野に到達します。
目を寄せるのも瞳孔とレンズの調整もここまでは一緒ですがここから別の経路をたどります。

目を寄せるのは
視蓋前野から動眼神経核そして両方の内側直筋を収縮させ「より目」になります。

縮瞳とレンズの肥厚調整は
視蓋前野から動眼神経副核にシナプス、毛様体神経節を経由して瞳孔括約筋で瞳孔を収縮させ焦点を絞り、網様体筋を収縮させ水晶体(レンズ)を厚くします。

これが近くの物や文字を見たときに焦点を合わせる仕組みです。

しかし視覚でもう一つ面白い経路があります。
視覚情報が大脳皮質視覚野から中脳の上丘に行く経路です。
これは視蓋脊髄路と言って中脳の上丘から頚部筋、首の筋肉を視覚情報により反射的に活動させる。経路です。
例えば視覚に入った物の方に目と顔を向けるといった時に働く神経経路です。

焦点がうまく合わせられない。
この時点で中脳が何らかの機能的問題を起こしている可能性があります。

そうなると中脳の一部である上丘も機能的問題が起きても不思議ではありません。
上丘が正常に機能しなくなり視蓋脊髄路から頚部の筋肉にパルスが流れ込み緊張させ肩こりを招いてしまった状況です。

中脳には副交感神経の中枢である動眼神経副核がありますので
中脳が機能低下すると入眠困難、眠りが浅いなどの症状が伴います。

眼球運動を用いて中脳を活性化。
筋肉などの効果器の調整は一切せず5分ほど休んでいただいたところ
輻輳調節反射も正常になり焦点もしっかりと合うようになり
何よりも頭がスッキリし肩こりも消失したという事です。

「目の疲れから肩こりが起こる」
このように表現されることがありますが
目の疲れも、肩こりも結果として起こったものです

逆行性経路で引き起こされないこともありませんがそこには必ず中枢神経の機能的問題が存在します。

引き起こされている症状がどの神経系が関係しているのか
問診と神経系検査で見極めることが最重要だと思います。

筋肉や関節などの調整を最初に行ってしまうと神経系が別の反射をお越し
検査や施術は行えなくなります。

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