院長のブログ

末梢性感作

先生、頭が痛風になっちゃった。

来院された60代後半の女性患者さん。

頭が痛風?
どんな状態?

確認すると昨日から頭皮がピリピリと痛い感じになり
髪の毛に触れたところ強い痛み。

今日、外出していて風が髪の毛を揺らしただけで強烈な痛み。

髪の毛に触っても痛い、寝る時に頭皮が枕に触れただけで「うっ」と声をあげるほどの痛み。

これはどうもアロデニアに近い状態のように思われます。
アロデニアとは末梢性もしくは中枢性で感作状態になり触覚、圧覚など痛覚とは関係ない刺激を痛みとして感じてしまう状態。

末梢性では一番多いのが脊髄後角で触圧覚などのAβの刺激が成長ホルモンの一種である誘導ホルモンによって痛覚の上行路線維に乗り換えてしまい痛みと認識してしまう状態です。

中枢性感作は視床もしくはそれよりも上位、感覚野が自動発火して痛みを作り出してしまうものです。

この患者さんの場合末梢性感作の状態だと思われます。
それは中枢神経の検査では問題はありますが特筆する状態ではありません。

患側で表在感覚が過敏であり伸張反射の亢進、対光反射で縮瞳不安定がみられます。

あまり強い刺激は与えたくありませんので
皮膚にエアーを軽く吹き付け、胸郭操作で呼吸誘導。
頭蓋骨調整で脊髄液を調整して様子を見ていただくことにしました。

施術を終えて院を出る時には頭皮を触っても痛みは半分ぐらいになったという事でした。

アロデニアかどうかという事は診断のできない私たちには判断できませんが
状態から酷似していると思います。

脊髄後角での感作であるならば、侵害性の刺激が長期間入力されていた可能性、もしくはAαまたはAβの太い線維の刺激の入力低下が考えられます。

最近の行動を確認しましたところ
この方、押し花の先生で作品展のために長時間座った姿勢で細かい作業に集中していたといいます。

動きのない手先の作業は筋肉や関節からの太い線維の刺激が低下します。
それに加え前傾姿勢で長時間過座っていたために酸素不足になりTCAサイクルが稼働せず
神経が発火しやすくなってしまったのも一因と思われます。

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