『腕から手にかけてしびれる』こんな患者さんが来院した時。最初にやらなければ行けない事、鉄則とでも言ったらいいのでしょうか。
それが本当にシビレなのかどうなのか?
患者さん本人が『シビレている』と言っているのだからシビレているに決まっているじゃないか!!!
となりますが『ところがどっこいそうは問屋が卸さない』のがシビレという代物。
では『シビレ』って何?となるわけですが、シビレの正体は痛覚神経(Aδ/C線維)が弱く発火した時に『シビレ』と感じます。
痛覚神経の特にC線維は強く発火すると『痛み』と感じ、痛みより弱い発火で『シビレ』と感じます。ちなみにそれより弱い発火で『かゆみ』、一番弱く発火すると『くすぐったい』と感じます。
ですから『シビレ』は本来痛みなのです。
となると痛みの感覚(痛覚)を検査することでシビレなのかシビレの皮を被ったシビレ感なのかはっきりします。
痛覚を検査するにはルーレットピンなどの専門の検査器具もありますが私がよく使うのは書類などを止めておくクリップ。
クリップは細い針金を丸めて加工してあるので真っ直ぐに伸ばして皮膚を刺激します。
ブッスっと血が出るまでさしてはいけません(当たり前ですよね)。
軽くピンの先で刺激して腕であれば右と左で痛みの感じ方の違いを確認する。
シビレを訴えている側が痛みを感じにくいようであれば『シビレ』ではなく『シビレ感』の可能性があります。
この時、問診も重要な手掛かりになります。
患者さんに確認する事は2つ。
「正座でシビレた時のようにビリビリ、ジンジンとした感じ」なのか「歯医者さんで麻酔をした時のような感じ」なのか。
ビリビリ、ジンジンとした感じであれば痛覚神経の発火なのでシビレ。
麻酔注射をすると痛覚神経がマヒするために触ったり、押したりする感覚は分かるが痛みを感じない状態になります。これはシビレ感。
ほとんどの患者さんが
『押したり触ったりする感覚はあっても痛みが感じない』
『正座をした時のビリビリした感覚』
この両方ともシビレと表現します。
『シビレ』と『シビレ感』最初の段階でしっかり鑑別しておかないとその後が厄介なことになります。
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