咳は気管に異物が入り込んだ時に、その異物を体の外に出そうとする反射運動(これを咳反射と言います)です。
特に風邪やアレルギーなどで気管が収縮している時にほこりや異物、冷たい空気に過剰反応して起こる症状です。
気管の収縮は自律神経系の副交感神経の働きで引き起こされます。

風邪をひくとなぜ咳が出るのでしょう?

ウィルスが体内に侵入すると、ウィルスをやっつけるために体の中でリンパ球が活発に働きます。
リンパ球はウィルスを退治して風邪の治癒へと導きます。これがいわゆる抵抗力です。
しかし、リンパ球が活発に働ける条件があります。
リンパ球が一番元気に活動できるのは、体温が38度から40度の状態。
この状態でリンパ球が一番活発に動き活性化してウィルスをやっつけてくれます。
体温を上げリンパ球の働きを活発にして風邪の治癒をうながす役目をはたす副交感神経ですが同時に困った作用ももたらします。
副交感神経が優位に働くことで『体温を上げる』 『気管を収縮させる』 『鼻腔や口内、目などの粘膜の分泌を活発にする』などが症状として現れます。
ちなみに風邪の症状である発熱、鼻水、などはリンパ球が風邪のウィルスをやっつけるために活発な働きができるように副交感神経が優位に働いた結果です、また副交感神経は気管を収縮させる働きがあり、気管を過敏にさせ咳を引き起こします。

風邪が治っても咳きだけが数週間から数ヶ月、止まらないことがよくあります。

通常は風邪が治るとリンパ球と副交感神経の働きは低下し正常になりますが、副交感神経の働きだけが残ってしまうことがあります。このような場合は咳きがいつまでも止まりません。
自律神経と呼吸を調整し、気管を緩める事で長い間苦しんだ咳きから開放されます。
喘息も副交感神経により引き起こされますが、喘息はアレルギーの問題も視野に入れてアプローチしなくてはいけません。

咳が止まらない時の応急法

氷水を用意してください、それもできるだけ冷えた氷水です。
咳が止まらない時、一口「ゴクッ」と飲んでください。
食道を通る冷たい水がとなりにある気管を冷やします。
気管は冷やされることで拡張され咳反射が起こりにくくなり楽になります。

気管は冷やされることで交感神経の働きで拡張します。

アレルギーや喘息の発作などで薬を吸引すると咳が止まるのも、薬の効果により交感神経を働かせることで気管が拡張され咳が止まり呼吸が楽になります。
応急的な処置ですので持続性はあまり期待できませんが、お子さんが夜咳き込んで眠れない時や風邪などで咳が止まらず辛いときなどお試しください。

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