ミトコンドリアって聞いたことありますか?
私たちの体重の約10%を占めている細胞内の小器官で、簡単にいうと生きるためのエネルギーを作り出すエンジンのようなものです。
ミトコンドリア研究の第一人者、日本医科大学教授の太田成男さんによると、『ミトコンドリアが増えるほどカラダは元気になる』とのことです。

代替テキスト
ミトコンドリア
ミトコンドリアって一体どんなものなのでしょうか?

ヒトの細胞は60兆個あります。その一つ一つに数百から数千個のミトコンドリアがあります。
細胞に届いた栄養(主にブドウ糖)と酸素を原料に、生きるのに必要なATPと呼ばれるエネルギーのもとを絶えず休みなく働いていて作っています。
自動車でイメージするとわかりやすいのですが、
エンジン(ミトコンドリア)で ガソリン(主にブドウ糖)を 燃焼させて走る(活動エネルギーを作る)イメージです。
十分な酸素がないと燃焼しないことがイメージできると思います。

ミトコンドリアが上手く働かない状態は万病のもとです。

ミトコンドリアが上手く働かないすなわち、体に必要なエネルギーが作れていないということ。

メタボリックシンドロームや生活習慣病はもちろんのこと、風邪をひきやすい、疲れやすい、活性酸素が増えることでの老化促進、 癌 そしてアトピーや花粉症といったアレルギー症状までありとあらゆる健康被害をもたらします。

40代を過ぎると代謝が下がって疲れやすい、年齢のせいだから代謝が落ちて太りやすくなったなどとおっしゃる方も多いと思います。
「食べていなくても太る」「以前より疲れがとれにくくなった」。40代、50代にとってこれは共通した悩みではないでしょうか。これには、「代謝」が深く関係していると考えられます。

また、虚弱体質で風邪をひきやすいお子さんもエネルギー代謝が低い場合が多いのです。

また、食べたものが上手く消化吸収できておらず不完全燃焼していることで、年齢にかかわらず様々なアレルギー症状を起こしていくことにつながります。

ミトコンドリアが上手く働かない状態、ATP(エネルギーの通貨)不足となり万病のもとです。

健康のためにはミトコンドリアを増やし、十分な酸素とブドウ糖をしっかりと細胞に届けることが大切です。

ミトコンドリアがATPのエネルギープラントであるイメージは出来ましたか?

エネルギー代謝とミトコンドリア

体の中では様々な「代謝」が起きていますが代表的なのは、食物に含まれる糖や脂肪をエネルギーに変える「エネルギー代謝」です。この代謝がうまくいっていれば、糖や脂肪を余すことなくたくさんのエネルギーを作れます。40代を過ぎたあたりから何もせずに過ごしているとミトコンドリアの機能が低下するとともに数もどんどん減ってきます。
ミトコンドリアの仕組みを知れば、代謝を良くするために何をすればいいかが見えてきます。

ミトコンドリアの数を増やさなくても、体内の休んでいるミトコンドリアをしっかりと働かせることで、代謝高率を上げることもできます。

しかし、働くミトコンドリアの数が少ないと一つひとつに負担がかかり、活性酸素が発生しやすくなります。

活性酸素は、全身の老化につながるうえに、正常な細胞を傷つけ癌化する可能性があります。

余裕をもって仕事をしてもらうために、ミトコンドリアの数を増やすことが重要なのです。

人間には、肝臓、腎臓、筋肉、脳などの代謝の活発な細胞に数百、数千個のミトコンドリアが存在し、細胞質の約40割を占めている。平均では1細胞中に300-400個のミトコンドリアが存在しており、アスリートは一般人より数が多いのです。

ミトコンドリアの数を増やす
矢印
それぞれの負担を減らす、活性酸素が減る
矢印
エネルギー産生量が増え、細胞分裂の正常化
矢印
神経系の正常化、
アレルギーの改善、
老化現象のしわやシミの改善、
薄毛の改善、
病気の予防や改善など

ミトコンドリアのイメージはできましたか?

次はエネルギー代謝をうまく働かせるための条件についてです。

エネルギー代謝をうまく働かせるための3つの条件

  1. エネルギーのプラントである『ミトコンドリア』数が十分であること
  2. 食べたもの(炭水化物や脂肪)をブドウ糖や脂肪酸に分解して酸素と共に細胞内の『ミトコンドリア』に届けることができること
  3. エネルギーのプラントであるTCAサイクルを上手く回すために必要な栄養素をバランスよく食べること

では、条件の1つ目から説明していきます

①エネルギーのプラントである『ミトコンドリア』数が十分であること

『ミトコンドリア』数を考えるときには、運動がキーワードになってきます。

 「運動」とミトコンドリアの関係
運動してたくさんATPを使うと、ATPが不足します。
すると、細胞ではAMPKという酵素が活性化し「体内の脂肪を使え」「ミトコンドリアを増やせ」という指令を出すのです。

運動して血管が拡張すると、ミトコンドリアは増えて大きくなります。

ミトコンドリアの数が多いと安静時のエネルギー発生量も多くなりますので、基礎代謝が高い状態が保てます。

基礎代謝は、年齢を重ねるにつれて下がります。

1日に必要なカロリーを体重で割った数値を見ると、男女ともずっと下がり続けるのです。

したがって、厚生労働省で示している、日本人の基礎代謝量を見ると男性は成長期である15~17歳をピークに女性は12~14歳をピークに必要なエネルギー量は、年齢とともに減ってきます。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000083871.pdf 厚生労働省HP 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書 エネルギー 参照

  エネルギー代謝をうまく働かせるための重要なキーワードが、「ミトコンドリア」です。
「ミトコンドリア」の数を増やすことが大切なことがわかったと思います。

次に、条件の2つ目

②食べたもの(炭水化物や脂肪)をブドウ糖や脂肪酸に分解して酸素と共に細胞内の『ミトコンドリア』に届けることができること

食べ物が口で咀嚼されて、胃や腸で消化され細胞に届ける仕組みを見ていきましょう。

代替テキスト

食べた食物が胃腸で消化酵素によって

炭水化物は単糖(グルコース フルクトース ラクトース)にまで分解されます。
その後、小腸から吸収され グルコース以外の糖は肝臓でグルコースに変換されます。

タンパク質はアミノ酸にまで分解され

脂質は脂肪酸にまで分解され

小腸から吸収され

それぞれ血液に運ばれて細胞にたどり着くと….

TCAサイクルのスタートとなる物質は、

アセチルCoA

というものです。

このアセチルCoAは非常に重要です!

3大栄養素からエネルギーを作る元の物質がアセチルCoAです。

上記の図で分かる通り、脂肪酸も、アミノ酸もこのアセチルCoAとなりTCAサイクルを回っていくのですが、解糖系で生じたピルビン酸も全く同じです。

細胞質ゾルでグルコース(ブドウ糖)はピルビン酸になり
2個のATPを作ります。

この反応は無酸素で行われて解糖系と呼ばれます。

ピルビン酸 +  ? ⇨アセチルCoA

?  には 何が入るかわかりますか?



正解は酸素です。

わたしたちは呼吸によって酸素を取り込み、血液によって細胞に酸素を運びます。
ミトコンドリアはその酸素を使って糖や脂肪を分解するのですが、その分解のなかで生まれるのがわたしたちに欠かせないエネルギーなのです。

酸素がない状態ではピルビン酸は乳酸になってしまいTCAサイクルには入れません。

充分に酸素がある状態だと….

ピルビン酸に酸素が加わることでミトコンドリア内に入り込みアセチルCoAに変換されてTCAサイクルに入って36個のATPを作り出します。

そして条件の3つ目

③エネルギーのプラントであるTCAサイクルを上手く回すために必要な栄養素をバランスよく食べること

このピルビン酸からアセチルCoAに変わる、この反応を触媒する酵素は

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ

という代謝酵素です。

実はこの代謝酵素の働きを助ける補酵素がビタミンB₁なのです。

糖質代謝にはビタミンB₁が必要、運動するときにはビタミンB₁を摂ると良いと言われるのです

ビタミンB₁の他にも、このピルビン酸からアセチルCoAに変わる際にビタミンB2 ナイアシン パントテン酸 も必要になるのです

ここで思い出していただきたいのがOptimal balance triangle オプティマル バランス トライアングルです。

栄養があっても酸素がないとエネルギーが作れません。
ブドウ糖がTCAサイクルに入って燃えることで、脂肪酸は燃えますので、酸素が十分にある状態を作る必要があります。

また、ピルビン酸からアセチルCoAに変化し、TCAサイクルに入り、クエン酸 イソクエン酸 からどんどん変化していきますが、その際に ビタミンB群はあらゆる種類の酵素の補酵素として働いています。

そのミトコンドリアの中でどのようにエネルギーが作られていくのか、どのような栄養素が必要なのか、エネルギー代謝の仕組みについて詳しくみていきましょう。

下の図で糖質がピルビン酸に変化した後にビタミンB群がどこで使われるかを見てください。

私たちが必要とするビタミンは複数ありますが、その中でもビタミンB群は特に代謝ビタミンとよばれ、私たちが生きるための源であるエネルギーをつくるのに必須です。

糖質の代謝同様に、脂質やタンパク質の代謝にもビタミンB群が関与しています。

脂肪酸のβ酸化からアセチルCoAに変化する過程でビタミンB2 ナイアシン パントテン酸が補酵素として使われます。

アミノ酸がTCAサイクルに入っていくには、アミノ酸の種類によって使う種類は違いますが、すべてのビタミンB群を使います。
さらにアミノ酸から気分を左右するセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質を作る作用にもビタミンB群は必要です。

重要な事実として、食品から摂ったビタミンB群はそのままの形では働けません。

いったんからだの中で働ける形(活性型)に変えらますが、この時にいろんなビタミンB群がお互いに関与します。
例えば、ナイアシンやビタミンB12は葉酸に、ビタミンB2はビタミンB6に必要です。それと同時に、核酸が必要なものもあります。
ゆえに、せっかく食べたビタミンB群にからだの中で効率的に働いてもらうには、ビタミンB群は単体ではなく複合体で、核酸成分も一緒に摂るのが理想的です。

そのためサプリメントは、ビタミンB群として売られています。

またビタミンB群は腸内細菌によって作られるので腸内環境を良くすることも重要です。

話はビタミンB群に流れてしまいましたが、ミトコンドリアに話をもどしますと

●ミトコンドリアの中ではブドウ糖 脂肪酸 アミノ酸がTCAサイクルに取り込まれてエネルギーを作り出している。

●エネルギーを作る時に、酸素と栄養 特にビタミンB群が必要になる。

●運動を行うことで、ミトコンドリアの数を増やすことが出来、より健康な体を手に入れることが出来る。

オプティマル バランス トライアングルを整えて、エネルギー代謝を上げることが、オプティマルヘルス(最良の健康状態)の必要条件です。
3つを意識して、オプティマルヘルスを手に入れましょう。