鈴木のり子のブログ

乳酸と疲労の関係に対する誤解とビタミンB群!!

激しい運動やストレスによって疲れを感じた時、 身体に乳酸がたまるのが原因で、疲労回復には乳酸を取り除くことが必要だと誤解されています。

なぜ乳酸は疲労物質として、世間の常識になってしまったのでしょうか?

皆さんが持つ乳酸のイメージはこの中にありますか?

× 乳酸は疲労物質である
× 乳酸は疲労の原因であり、素早く除去しなければならない
× 乳酸が体内にとどまると、疲労の回復を遅らせる
× 乳酸が多く作られると身体が酸性になる
× 乳酸を取り除くために、クエン酸などのアルカリ性食品を食べると疲労を回復できる
× 乳酸は血流を巡り、体に疲労を感じさせる

全て間違いです。

体内に乳酸を投与しても疲労状態を起こすことはありません。

疲労の原因となる疲労物質が体の中に入ると、人は疲労を感じますが、乳酸を投与しても疲労を感じることはありません。

乳酸とは何なのでしょうか。

下の図を見てください。
グルコースは、酸素がない状態だと乳酸に変化します。
酸素がある状態だとピルビン酸を経由してアセチルCoAになりTCAサイクルに入って
38ATP作られます。
違いは酸素があるか無いかで作られるATPの数が違います。
激しい運動時に呼吸で十分な酸素が得られないと乳酸が作られます。その場合は、ATPの数2ATPだけです。酸素がある状態に比べて36ATPが足りないすなわち、エネルギーが足りない状態ではあります。

したがって、運動や頭脳労働によって必要なエネルギー量が増えた時に、たくさんのブドウ糖を用意してより多くのエネルギーを作ろうとするが、そのブドウ糖の量に対して酸素が足りていない、だから乳酸が増加してしまうというのが真実です。

乳酸というのは原因ではなくて疲れるのではなくて、酸素が不足状態なので、グルコースがピルビン酸からアセチルCoAの流れに入れず、エネルギーが少ない状態です。

すなわち、疲労感を感じる、この時の体は乳酸が多い

⇒乳酸は疲労物質という勘違いが生まれてしまった。

ちなみに、この増加した乳酸は臨時エネルギーとして使われます。
上の図からもわかるように酸素を体にたくさん取り込むことでどんどん消費されます。

乳酸に関する正しい知識

  • 運動によって乳酸は増加する
  • 増加した乳酸は、ピルビン酸に変換され、エネルギーとして利用される。
  • その時にビタミンB群の一種 ニコチン酸がつかわれる。
  • 乳酸の増加は非常に一過性のもので、何もしなくても1時間で元に戻る
  • 乳酸は筋肉だけでなく、脳においても非常に重要なエネルギーである
  • 筋肉だけでなく、脳においても乳酸は重要なエネルギーとなっている。

ビタミンB群が疲労回復に効果ありかどうかは、もう一度上の図を見てみましょう。

ピルビン酸からアセチルCoAに変わるところに酸素と同時にビタミンB1とパントテン酸が使われています。他にもビタミンB2、ニコチン酸、リポ酸が利用されます。

酸素と同時にビタミンB群があることでエネルギーを多く作ることが出来ますので、疲れにくいということです。

酸素やビタミンB群が不足してエネルギーが多く作れない状態では当然疲れやすくなります。その時に体にたまるのが乳酸ということです。

乳酸は原因ではなくて結果であることが分かったと思います。
作られた乳酸をいち早くエネルギーとして使うためには、ニコチン酸が必要です。

ニコチン酸とニコチン酸アミドからなるナイアシンを摂ると良いです。
ナイアシンはセロトニン合成に不可欠な物質です。
うつ 不眠 不安などの神経症状や血管拡張効果なども認められています。
不足しないように、食品でとるには、鰹節 たらこ カツオ マグロの赤身 豚レバー
鶏ささみ 胸肉 いわし 鯖などです。

ビタミンBは十分に摂取できている場合には、ビタミンB群を摂っても、あまり効果がない場合があります。
その場合は、酸素不足が大きな原因です。

ゆったりとした深い呼吸で酸素を十分に吸うようにしましょう。
エネルギーを作るクエン酸サイクルを速やかに回せる状態を作り、ATPをたくさん作れると肉体疲労による疲労感が無くなります。
その場合は、クエン酸を摂ることも、クエン酸回路を回しやすくなるので疲労回復に効果はあります。
クエン酸は乳酸を分解はしませんが、 ATPを作りやすくします。

一方、ストレス性疲労は呼吸が浅くなり酸素不足になることと、ビタミンB1やナイアシの消費が高まるので、不足しやすくなります。
その場合は、深呼吸+ビタミンB群のサプリメントが有効な場合が多いです。

ビタミンBの効果があるかどうかは、 「酸素不足による疲労なのか」、 「ビタミンBを摂取することで回復するタイプの疲労なのか」、 を見極めることが非常に重要になります。

過剰摂取により疲労やが出ることもあります。
また、ビタミンBは水溶性なので余った分は尿に排泄されますが、サプリメントでの大量投与で、過剰症状が出ることもあります。
皮膚炎や痛みなど他の症状出る場合もあります。

サプリメントを飲んでも変化がない場合は、飲む量を増やしたりせず、ご相談ください。

その他、ホルモン生産、血流・貧血改善、ストレス抵抗性を上げたり、中枢機能を補助したり、他の栄養素の吸収補助など、 ビタミンBのどの作用も疲労と深い関係があるため、ビタミンBは疲労に効果があると言われます。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。